No 8 日獣と日東紡がネコの慢性腎臓病の早期発見・予防に関する共同研究を開始
日東紡は 2023 年4月に設立した新規事業創出センターで、同社が持つ強みと他社の技術力・創造力を掛け合わせたオープンイノベーションの推進を通じ、新規事業の探索を進めている。なかでも、コンパニオンアニマルの高齢化の進展や、 飼育環境の変化に伴う医療・疾病予防ニーズの拡大を見据え、スマートフォンをベースとし、自宅で疾病の状態や罹患リスクが検査可能なアプリケーションの開発を進めており、課題解決の対象としてネコの慢性腎臓病に着目した。
共同研究の目的
慢性腎臓病はネコの3頭に1頭が生涯に罹患する疾患として広く認知されており、日東紡は当アプリケーションを通じ飼い主へ簡便で正確なセルフチェックを提案し、獣医師への早期受診提案などを通して、ヒトと動物との共生社会の実現を目指す。この開発および機能拡張、医療機器への適応に際し、同社はネコの慢性腎臓病の診断・治療の 第一人者である日獣大獣医内科学研究室第二の宮川優一准教授と共同研究を開始した。今後、この革新的なサービスプラットフォームを拡張・発展させ、将来的にヒトのメディカル・ヘルスケアの両輪において新規事業の創出を加速させていきたいと考えている。
日東紡 新規事業創出センター概要
重点領域
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ヘルスケア領域(予防医療・未病)
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環境・エネルギー
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デジタル技術・データ活用
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地域への貢献
戦略投資枠: 約20億円 (現中計期間:2024年~2027年の累計)
宮川 優一 准教授の研究内容
IDEXXでは、慢性腎臓病におけるリン過剰の管理とモニタリング(IRIS CKDステージ1およびステージ2の猫におけるリン過剰と代謝性骨疾患の早期発見)がサービスされているので、以下の宮川らの研究が、今回の共同研究のテーマであるかはわかりません。
論文タイトル:Serum fibroblast growth factor-23 concentrations in young and mature adult cats with chronic kidney disease
(慢性腎臓病の若齢および成熟成猫における血清線維芽細胞増殖因子-23(FGF-23)濃度)
J Feline Med Surg. 2022 Aug;24(8):815-820. doi: 10.1177/1098612X211039192.
PMID: 34431737
緒言より抜粋:FGF-23は慢性腎臓病(CKD)-ミネラル・骨障害(MBD)に関与していることが示されている。CKDでは、糸球体濾過量(GFR)の低下に伴うリン酸排泄機能障害を補うために、循環FGF-23濃度が上昇する。さらに、血漿中FGF-23濃度は、リンの上昇と比較してCKDの初期段階で上昇することが示されており、ネコのCKDでは生存期間の短縮と関連している。したがって、FGF-23は猫のCKD-MBDの早期診断因子と考えられている。
出典:2025.1.20 日東紡績、日本獣医生命科学大学 共同プレスリリース
ネコの慢性腎臓病の早期発見・予防に関して、日本獣医生命科学大学と共同研究を開始
※ 参考情報
総説:Urinary Biomarkers of Kidney Disease in Dogs and Cats
Vet Clin North Am Small Anim Pract. 2023 Jan;53(1):53-71. doi: 10.1016/j.cvsm.2022.07.006.
PMID: 36270837
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